計画停電実施スケジュールの情報提供に続き、Yahoo! JAPAN が公開した電力関係のサービスは「電力使用状況メーター」である。
3 月 14 日(月)の開始から 1 週間経っても、計画停電は続いていた。電力が不足していて節電が必要と言われても、いったいいつどれくらいの電力が必要なのか。本当に電力が必要なピーク時以外の時に節電をしていても意味がない。計画停電対象外の地域でも節電意識は高まっており、人々は情報を切実に求めていた。
3 月 20 日(日)、蓮舫行政刷新担当大臣(当時)が「計画停電に関しては早めの情報提供、ならびにリアルタイムで国民が電力需要量を確認することができるための「見える化」を、早ければ来週火曜からでも実施していただけるよう東京電力と調整しています」というツイートを Twitter で行った。これを見た Yahoo! JAPAN の震災対策特別室では、電力会社の最大電力供給量と電力使用状況をページ上に掲載できるように準備を進めた。
22 日(火)には、確かに東京電力からデータが公開されたのだが、これは 1 時間ごとの電力使用実績を棒グラフで表示したものであった。グラフの画像データしか公開されなかったため、細かな数値はわからず、他のサービスでデータを再利用することも行いづらい。
そこで、Yahoo! JAPAN では、東京電力公開のグラフを手作業で測って数値を割り出し、どれくらい供給量に余裕があるのかが一目でわかるメーター表示に加工して、トップページ上の特別枠で公開を行った。当初は 1 時間ごとに担当者が手作業で測っていたが、画面上のグラフからデータを読み取るツールを作成して作業の効率化を図ったという。
この電力使用状況メーターは、たんにデータを見やすくしただけではなく、CSV形式でもデータ提供を行っていた。CSV というのはテキストデータをカンマで区切ったデータ形式で、これがあればユーザー自身が表計算ソフトなどにデータを読み込んで加工や分析に使える(現在では電力会社のページでも CSV データの提供が行われている)。ちなみに、3 月 29 日(火)には「電力使用状況 API」も公開されている(API とは、あるウェブサービスや OS などの機能を別のアプリやサービスから利用するための仕組み)。ウェブサービスの開発者であれば、この API を使って独自のサービスやアプリを作ることができるようになった。