Google.org Leaders to Watch 2022
今年の Leaders to Watch では、教育の公平性の拡大から環境問題への取り組みまで、すべての人にとってより良い未来を築くための活動を紹介します。
アリソン スコット博士は、技術分野における人種間の平等を実現するために取り組んでいます。
教育者の一家に育ったスコット博士は、不平等の根本原因の究明と、STEM 教育の機会拡大、テクノロジー人材の拡充のためのソリューションの開発にキャリアを捧げてきました。スコット博士は Kapor Foundation の CEO として、テクノロジーが持つ可能性と将来性が生かされることで、長年にわたる不平等を解決し、より多様で、平等かつ公正な未来を築けるよう取り組んでいます。これには、幼稚園から高校までのコンピュータ サイエンス教育における公平性の向上、技術分野でのキャリアパスの拡充、公平性とインクルージョンを促進するための政策と実行の提唱などが含まれます。スコット博士にインタビューを行い、これまでの取り組みについて伺いました。
アリソン スコット博士(女性)との Q&A
仕事で最もやりがいのあることは何ですか?
他の人に対して、その慣行、ポリシー、ストラテジーや信念を変え、技術分野における人種間の不平等を解決するよう働きかけている時です。また、変化が可能であるということを気づかせてくれるような成功事例を目にしたときにも、やりがいを感じます。社会的公正やコンピューティングに情熱を持っている若い世代、コンピューティングを精密で重要性の高いものにしようとたゆまず取り組んでいる教育者たち、そして政策転換を推進しているリーダーたちから、日々刺激を受けています。私たちの前途には、深刻な課題(構造的な人種差別、COVID-19、二極化、気候危機など)が待ち受けていますが、より平等な未来を築くために力を合わせて取り組んでいることを誇りに思っています。
この 1 年、どういうものから喜びを得ていますか?
困難に満ちた 1 年でしたが、ささやかなこと、特に家族、友人や同僚たちが健康に過ごせていることに感謝しています。一方で、多くの人々が喪失感、悲しみ、経済的に不安定な状況を抱えています。そのような人々を引き続きサポートしていきたいと考えています。また、多くの黒人女性リーダーたちが成功し、この国の公正と平等を実現する闘いにおいて、彼女たちの重要性が認識されるようになりました。このことにも大いに刺激を受け、勇気づけられました。
「技術には遍在性があるにもかかわらず、技術分野では人種間の多様性が欠けています。また、技術革新は有色人種のコミュニティに不均衡な影響をもたらしています。だからこそ、この取り組みは人種的正義の闘いの中核を成すものであると信じています。」
アリソン スコット博士
ご自身とあなたのチームの今後の展望を教えてください。
私たちの社会が直面している切迫した問題を考えると、早急に歴史的不平等を解決し、未来のテクノロジー エコシステムを構築する必要があると考えています。そのため、今後も重要な分野での取り組みを続けていきます。私たちは、あらゆる学生たちの機会を拡大し、次世代の技術者たちがコンピューティングの社会的、政治的、倫理的な視点を深めていくよう動機づけることで、コンピュータ サイエンス教育を変革していきます。また、技術分野でのキャリアパスを拡充し、多様で包括的な職場を実現するための取り組みを強化していきます。さらに、教育における人種間の平等のギャップを解決し、テクノロジーの有害な影響に取り組み、また、未来を形成する幅広いテック企業やリーダーたちへの投資を行うための政策転換を引き続き提唱していきます。
Kapor Foundation について
Kapor Foundation は、長年にわたる人種的不平等の解決、経済的機会の創出、有色人種コミュニティの力と視点の反映を可能にする、より公平なテクノロジー エコシステムの形成に取り組んでいます。Kapor Foundation は Kapor Center の一部です。Kapor Center とは、STEM 教育プログラムへのアクセスの拡大、調査の実施、コミュニティ組織への投資、有色人種の社会的インパクト起業家への資本の展開を通じて、テクノロジー エコシステムにおける多様性と包括性の推進を目指す組織の集合体です。
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アナーニャ ティワリ氏は、インドの地方在住の少女たちが教育を受ける機会を得られるようサポートしています。
インドで生まれ育ったティワリ氏は、教育機会の欠如と少女たちの早婚との間に関連があることに気づき、教師になることを決意しました。ティワリ氏はその他の教師からなる少人数のチームと、少女たちの学習機会を増やすことを目指して、小さな村に学校を開きました。少女たちに教育とライフスキルを提供する方法を考案し、それを実践する経験を 8 年積んだ後、ティワリ氏はインドで SwaTaleem Foundation を共同設立し、現在はその運営を行っています。SwaTaleem は、若者、教師、保護者、政府関係者と協力して、早婚する傾向にあるダリット、部族、その他のマイノリティ コミュニティ出身の少女たちの教育成果を高めようと取り組んでいます。SwaTaleem は、これまで 1,000 人近くの少女が自分の未来を変えるのをサポートしてきました。ティワリ氏にインタビューを行い、これまでの取り組みについて伺いました。
アナーニャ ティワリ氏(女性)との Q&A
状況を変えようと思ったきっかけになった人物、出来事についてお聞かせください。
それは常に、私の周りにいた女性たちでした。最初にインスピレーションを与えてくれたのは母です。叔母は教育を受けていませんでしたが、勇気をもって家庭内暴力をふるう夫の元を去り、ウッタルプラデシ州カーンプルで麺料理の屋台を始めました。また、良い教育を受け、機会に恵まれた人々には、それによって受けた恩恵を自分のコミュニティに還元することで、同じような教育と機会をコミュニティの人々と共有する責任があると、私は考えています。
あなたの組織が行っている取り組みの意義をお聞かせください。
SwaTaleem が支援しているコミュニティは、性別、カースト、宗教、社会経済的地位、都会と地方の格差、教育の欠如など、複数の要因によって、何世代にもわたって疎外の対象とされてきました。こうした背景を持つ少女たちにとっては、主体的に行動し、教育の機会を求めることが難しい状況がいまだに続いています。まさにこれが、私たちがシステムベースのアプローチを通じて、政府、学校、保護者とともに取り組んでいる主な課題なのです。私たちは、このような少女たちの境遇を改善することで、社会全体にプラスの影響を与えることができると信じています。
「誰もが、その人生の歩みの中で、社会に影響を及ぼす存在になることができます。」
アナーニャ ティワリ氏
仕事で最もやりがいのあることは何ですか?
少女たちの日常生活に変化が起こっているのを目にしたときに、やりがいを感じます。彼女たちは問題解決を通して、生活の中でささやかな成功を手にすることができるようになります。この成功の積み重ねが、少女たち、そして私たちにとっても、長期的な課題を達成するために不可欠な要素なのです。
この 1 年、どういうものから喜びを得ていますか?
SwaTaleem のチームが、個人、そして組織として課題に取り組み、目的を貫き、優れた成果を上げることが、大きな喜びの源です。コロナ禍では、何度かとても困難な時期が訪れましたが、現在は以前にも増して充実した活動を行えるようになっています。
SwaTaleem Foundation について
SwaTaleem(サンスクリット語とアラビア語でそれぞれ「自分」と「教育の所有」の意味)は、テクノロジーを活用して、歴史的に重要視されてこなかった 10~16 歳の少女たちに教育を提供しています。SwaTaleem は保護者、教師、政府と協力しながら、彼女たちの教育をサポートするためのエコシステムを構築しています。少女たちは、インターネットにアクセスしなくてもスピーカーフォンで再生できる音声ファイルを使用して、数学や科学、金融知識(銀行口座の開設方法など)などのトレーニングを受けています。
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ブランドン ニコルソン博士は、若い世代の黒人男性が最大限に能力を発揮できるよう支援しています。
オークランドに生まれ、プリンストン大学を卒業したニコルソン博士は、The Hidden Genius Project の創設者兼エグゼクティブ ディレクターとして、人種間の平等を推進しています。彼は生涯のほとんどを通じて、明らかに能力があるにもかかわらず、それを発揮する機会に恵まれない人々がキャリアを形成できるようにするため取り組んできました。The Hidden Genius Project は、黒人男性の若い世代が自分たちの生活とコミュニティに変化を起こせるよう、テクノロジーの創造、起業家精神、リーダーシップ スキルに関するトレーニングと指導を行っています。ニコルソン博士が率いるこのプロジェクトでは、湾岸地帯やロサンゼルス、その他の地域に住む何百人もの学生をサポートしてきました。ニコルソン博士にインタビューを行い、これまでの取り組みについて伺いました。
ブランドン ニコルソン博士(男性)との Q&A
The Hidden Genius Project のミッションは何ですか?
The Hidden Genius Project は、黒人男性の若い世代が自分たちの生活とコミュニティに変化を起こせるよう、テクノロジーの創造、起業家精神、リーダーシップ スキルに関するトレーニングと指導を行っています。この数年間、不公平と教育機会の欠如がもたらす影響を身をもって体験しましたが、本当に幸運なことにこれらの障壁の多くを克服し、さまざまな機会と豊かさに触れることができました。現在は、若者が能力を最大限に発揮できる機会を持てるよう、このような障壁を取り除くための取り組みを日々続けています。多くの人々が、私たちの組織をテクノロジーに関する教育やシリコンバレーへのキャリアパスと結び付けがちですが、私たちは若者を総合的に支援しています。どのような目標であっても、それに到達できるようサポートしているのです。
仕事で最もやりがいのあることは何ですか?仕事で最も挑戦しがいのあることは何ですか?
若い世代の人たちが、他の人々、特に他の若者を教育、指導、サポート、励ましていく過程において直面する課題に対して、継続的に取り組む姿を目にしたときにやりがいを感じます。集中プログラムの卒業生が、15 か月間の集中訓練プログラムを除くプログラミングの大部分をサポートしています。卒業生たちは若い世代の黒人男性として、経歴や出身地の異なるさまざまな若者にチャンスを与え、彼らが持てる能力を最大限に発揮できるよう努めています。
「毎朝起きて、自分自身と家族、そして自分のコミュニティにとって重要な仕事ができるということは幸運なことです。私を勇気づけ、前へと駆り立ててくれるこの仕事を、私は大きなエコシステムの中で行っています。この一員であることを、とても誇りに思っています。」
ブランドン ニコルソン博士
ご自身とチームの今後の展望を教えてください。
今年 10 周年を迎える The Hidden Genius Project は、新しい本部をオープンし、デトロイトに新拠点を開設する予定です。また、多くの新しいチームメンバーを迎え、引き続きこの世界的なパンデミックの時代における不確実性に対応していきます。今後は対象地域を広げ、より多くの若者にポジティブな影響をもたらしていきたいと考えています。
エコシステム全体として見た場合、私たちがこの取り組みを前進させるためには、コミュニティの能力を信頼し、イノベーションを起こす能力を備え、意欲的にコラボレーションに取り組むという 3 つの重要な条件を満たす必要があります。若者は無限の可能性を秘めており、その才能によって常に私たちに刺激を与えてくれます。彼らに必要なのは、ネットワークとさまざまな機会に簡単にアクセスできるようになることです。そうしたネットワークや機会は、引き続き大人たち(コミュニティ組織、学校、高等教育、業界、政府など)の間で国際的に共有され、リソース調整を通じて若者に提供されます。それによって彼らは自分で行動できるようになるのです。実際、ますます多くの隠れた才能の持ち主(Hidden Genius)が、私たちの手を借りることなく自分の道を切り開いている姿を日々目にしています。この機会を捉えて歴史の流れに乗れるよう、今後も取り組んでいきたいと考えています。
この 1 年、どういうものから喜びを得ていますか?
喜びをもたらしてくれるものの一つは、息子の笑い声です。聞くたびにいつも癒やされます。
The Hidden Genius Project について
The Hidden Genius Project は、2012 年に、起業家と技術者からなる 5 人の黒人男性によって創設されました。彼らは、若い世代の黒人男性における失業率の高さと、地元のテクノロジー分野における大量の求人との著しい差にショックを受けたのです。この問題を解決するべく、若い黒人男性たちがグローバル経済で活躍するうえで必要なスキル、指導者、経験を提供するためのプログラムを立ち上げました。
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クララ ロウ氏は、世界の生態回復プロジェクトをサポートし、それらをつなげるオープンデータ プラットフォームを運営しています。
ロウ氏はコスタリカで育ちました。自分の周りや環境にポジティブな変化を与える人になろうという家族の教えのもと、サステナブルな開発と環境保護の両立のための活動をしたいと考えるようになりました。ロウ氏は、天然資源管理、国際的開発、持続可能な農業の分野で 10 年以上の経験を持っています。地球規模でサステナビリティを実現するための解決策と、現場の課題とのギャップを埋めることで培ってきた専門知識を活かして、彼女は現在 Restor の CEO として活動しています。科学に基づくオープンデータ プラットフォームである Restor は、世界のさまざまな規模の生態回復プロジェクトをサポートし、それらをつなげています。ロウ氏にインタビューを行い、これまでの取り組みについて伺いました。
クララ ロウ氏(女性)との Q&A
Restor のビジョンを教えてください。
地球温暖化が急激に進んでいる今日、地球の生態系を保護し再生することは、私たち全員が大きく依存している生物多様性を守り、気候変動に適応していくために不可欠です。Restor では、自然を再生することで実現できる重要な成果を、3 つの主要な数字を使って説明しています。自然の再生により、予想される種の絶滅を 60% 防ぐことができます。また、空気中の二酸化炭素を 299 ギガトン以上捕捉できます。これは産業革命以降に大気中で増加した CO2 の全量の 30% に相当します。さらに、13 億人分の食料安全保障を改善することができます。自然の再生には、地球環境へのさまざまな可能性が眠っています。私たちはそれらを引き出せるよう、継続的な取り組みを続けています。
仕事で最も困難なことは何ですか?
スタートアップを成長させるという過程で、多くの課題に直面しています。例えば、ユーザーのニーズと技術要件のバランスを取ることや、戦略を策定し、それが私たちの使命に沿ったものかどうかを確認する作業などです。こういった課題は、急成長を遂げている新しい組織が多く直面するものです。
「生態回復は、単に木を植えて森林を再生させるだけでなく、すべての生態系を回復することを意味します。どなたでもこの取り組みにご参加いただけます」
クララ ロウ氏
この 1 年、リラックスできるのはどのような時ですか?
外にいる時ですね。山、川、森など、心が癒やされる場所をいつも探しています。これは数年前に始めたのですが、早朝に俳句を詠むことで、自分と向き合う時間を取るようにしています。息抜きをするための日々の習慣です。
Restor について
Restor は、人々を科学的データ、サプライ チェーン、資金調達につなげることで、生態回復の取り組みにおける影響やその規模、サステナビリティを広げ、生態回復に関する活動を地球規模で進めています。スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)の Crowther Lab によって創設され、Google と共同で開発された Restor は、アースショット賞の 2021 年のファイナリストであり、国連生態系回復の 10 年の公式パートナーです。生態系回復と環境保護は、地球の生物多様性を守るうえで不可欠です。また、世界の累積炭素排出量を約 30% 削減できる可能性があり、気候変動の目標を達成するためにも大切なことです。
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エンジニア バイノムギシャ氏は、アフリカの全都市における清浄な空気環境の実現に取り組んでいます。
ウガンダの地方で育ったバイノムギシャ氏が初めて大気汚染の問題に直面したのは、マケレレ大学でコンピュータ サイエンスを学ぶため、故郷から 300 km 離れた首都カンパラに到着したときのことでした。バイノムギシャ氏は現在、マケレレ大学のコンピュータ サイエンス学部長を務めるかたわら、先駆的な取り組みである「AirQo プロジェクト」を指揮しています。AirQo は、バイクやタクシーに取り付けられた低コストのセンサーと AI モデルを使用して、大気質のモニタリングと予測を行っています。バイノムギシャ氏はチームとともに、ケニアのナイロビ、ガーナのアクラを皮切りとして、このプロジェクトをカンパラからアフリカの 5 か国 10 都市に拡大するべく取り組んでいます。バイノムギシャ氏にインタビューを行い、これまでの取り組みについて伺いました。
エンジニア バイノムギシャ氏(男性)との Q&A
AirQo のビジョンを教えてください。
私たちには、テクノロジーを活用してアフリカの全都市で清浄な空気環境を実現するという、意欲的なビジョンがあります。大気汚染は、特にアフリカでは環境と公衆衛生における重大なリスクとなっており、毎年何百万という人々の命が奪われ、生産性の損失を招いています。AirQo は、市民と政府がエビデンスに基づいて、アフリカの都市の大気質を改善するためのアクションを取れるようサポートしたいと考えています。
仕事で最も挑戦しがいのあることは何ですか?
大気汚染の影響はまだそれほど知られていませんが、劣悪な大気質は私たちの健康に長期的な影響を及ぼします。中には、大気汚染の課題の大きさに、無力さを感じている方や組織もいるかもしれません。大気汚染の改善には、持続可能な長期的戦略と、空気を浄化するためのアクションが必要です。
「世界の 9 割もの人々が汚染された空気を吸っています。そして、その多くが低所得国で暮らす人々です。これを解決するのが私たちの使命です。」
エンジニア バイノムギシャ氏
ご自身とチームの今後の展望を教えてください。
この取り組みをもっと多くの都市に拡大して、より多くの人々が大気質に関する情報にアクセスできるようにしていきます。一個人や組織が大気質データにタイムリーにアクセスすることで、大気汚染の問題に対する認知度を高め、改善に向けてエビデンスに基づいたアクションを取れるようになると考えています。
AirQo について
2015 年にマケレレ大学内で設立された AirQo チームは、ウガンダおよびサハラ以南のアフリカ全体の大気質データのギャップを埋めるため、ビルの屋上やバイクの後部に取り付ける大気センサーを開発しています。クラウドベースの AI ソフトウェアを使って大気中の微粒子データをリアルタイムで分析し、局地的な汚染状況を予測しています。予測結果はカンパラのコミュニティに提供され、大気汚染への暴露リスクの軽減や、政府当局による地上の大気質の改善に役立てられています。
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マリアナ コスタ チェカ氏は、ラテンアメリカの技術業界に変化を起こしています。
コスタ氏と共同創業者たちは、ウェブ開発企業を設立した際に、多くのウェブ デベロッパーが実際は独学で学んできており、また、業界で働く女性がほとんどいないことに気づきました。コスタ氏は、米国での長年の生活を経て祖国のペルーに戻ったときに、この現実に触発されて Laboratoria を立ち上げようと思い立ちました。この組織は、女性にウェブ開発の研修を提供し、テクノロジーの分野でキャリアをスタートできるように支援することを目指しています。Laboratoria はペルー、コロンビア、チリ、ブラジル、メキシコにセンターを構えており、成長を続けるラテンアメリカのデジタル経済で女性が活躍できる機会を広げるとともに、生活と業界そのものを変えようとしています。2015 年以降、2,000 人を超える女性たちがこのプログラムを卒業し、そのうち 80% 以上が常勤職に就き、収入を 2 倍以上に増やしています。コスタ氏にインタビューを行い、これまでの取り組みについて伺いました。
マリアナ コスタ チェカ氏(女性)との Q&A
Laboratoria のビジョンを教えてください。
Laboratoria は、ラテンアメリカの女性たちの機会を拡大し、質の高い教育へのアクセスを確保するとともに、ラテンアメリカのデジタル経済を、より競争力があり、包括性と多様性に富んだものにしたいと考えています。私たちの取り組みは、女性、特に経済的機会に恵まれなかった女性たちが、テクノロジーの分野で優れたキャリアを築き、この地域の未来を形成するようサポートすることです。
仕事で最もやりがいのあることは何ですか?
Laboratoria の学生や卒業生たちが、ポテンシャルを発揮し、自分自身を信じて活躍している姿を見るとやりがいを感じます。彼女たちは成長を続け、生涯を通して学習し、自信を持って優れたキャリアを目指しており、その過程でお互いをサポートし合うようになっています。現在、彼女たちは何千人もの女性に刺激を与える存在となっています。
「私たちが目指しているのは、すべての女性が能力を発揮する機会が開かれ、それによってラテンアメリカの未来が変革するような、多様性と包容力に富んだ競争的なデジタル経済を形成することです。」
マリアナ コスタ チェカ氏
最近はどういうものから喜びを得ていますか?
このようにペルーだけでなく世界全体が複雑化した時代に、より良い未来の構築に貢献している組織で、刺激を与えてくれる人々とともに、そしてそのような人々のために、日々仕事ができることを嬉しく思っています。
ご自身とチームの今後の展望を教えてください。
Laboratoria が与える影響を大きなものにしたいと考えています。ラテンアメリカでは、何百万人もの女性が良い条件での就職機会を求めていますが、テクノロジーの分野はまさにそのような機会となり得るのです。それをどのようにサポートできるかが、私たちの今後の課題です。
Laboratoria について
Laboratoria は、女性(特に経済的機会に恵まれなかった女性たち)が、テクノロジーの分野で優れたキャリアを築き、ラテンアメリカの未来を形成できるように支援しています。学生は 6 か月間にわたる全日制のブートキャンプを通じて、フロントエンドのデベロッパーや UX デザイナーとして働くうえで必要となる主要な技術スキルとライフスキルを習得します。プログラムの受講中、学生は料金を支払う必要はありませんが、Laboratoria の人材マッチング サービスを介して就職した後、補助金が適用された金額を月賦払いで返済します。これにより、他の女性たちが同様の機会を得ることができるのです。現在、テクノロジーの分野で活躍している卒業生たちが活発なコミュニティを形成し、将来業界のリーダーになることを目指してお互いにサポートし合っています。
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モーリッツ クレーマー博士は、感染症の拡大をより正確に予測できる未来の構築に取り組んでいます。
クレーマー博士は、危うくパンデミックに発展する可能性があった出来事を間近で体験し、感染症の研究に生涯を捧げることを決意しました。彼は COVID-19(新型コロナウイルス感染症)への対応を強化するかたわら、オックスフォード大学、ボストン小児病院、ハーバード大学、その他多くの機関の共同研究者とともに、2021 年 2 月に Global.health というプラットフォームを立ち上げました。これは、研究者が感染拡大を予測、研究する方法を大きく変えるものでした。このプラットフォームには、100 以上の国から 6,000 万件を超える匿名化された COVID-19 の症例データが集められています。これは、パンデミックに際して政府や公衆衛生コミュニティがより正確な予測を行い、政策の影響を過去にさかのぼって理解するのに役立っています。クレーマー博士にインタビューを行い、これまでの取り組みについて伺いました。
モーリッツ クレーマー博士(男性)との Q&A
状況を変えようと思ったきっかけは何ですか?
私は 2011 年に、交換留学生として香港大学で 1 年間を過ごしました。留学中、2003 年に最初の SARS 集団感染の一つとなったビルの向かいに住んでいたのです。そこで国際都市における伝染の特定の状況について学んだことが、感染症の国際的な拡大とその防止方法について研究するきっかけとなりました。それ以来、感染症を世界規模で追跡するためのテクノロジーの開発に取り組んできました。
あなたの組織が行っている取り組みの意義をお聞かせください。また、あなたの信念について伝えたいことはありますか?
感染症は、人類の存続の危機をもたらします。私たちの役目は、伝染を促進する要因と、それを阻止するためにどのような戦略が使えるかを理解することです。Global.health の取り組みは、世界中で広範囲にわたって影響を及ぼしているこういった問題と政策決定に対して、人々が理解を深めることに直接的に貢献しています。
「今年、私にとって最大の活力となったのは、私のチームだけでなく社会全体が、献身的に他者のために取り組んでいるのを目にしたことです。こうした姿勢の変化が進歩を加速させ、現在と将来の世界的な課題への取り組みを前進させることを願っています。」
モーリッツ クレーマー博士
仕事で最もやりがいのあることは何ですか?
私たちの取り組みが直接的に成果をもたらしているのを目にすることが、チームにとっての大きなやりがいとなっています。科学をリアルタイムで行えること自体が稀ではありますが、私たちの取り組みがこのような形で大規模に政策に反映され、毎日その成果を見守ることができる機会はめったにないことです。
ご自身とチームの今後の展望を教えてください。
私たちのチームは成長を続けています。今後もパンデミックへの対応と、将来起こりうるパンデミックについて貢献できるようにしていきます。また、SARS-CoV-2 の変異株がもたらすリスクをより正確に推定するためのアルゴリズムを開発する予定です。これにより、私たち一人ひとりが適切な意思決定を行い、自分自身と他の人々を守れるようにしたいと考えています。
Global.health について
Global.health は、第一線で活躍している国際機関の技術者と研究者による共同の取り組みであり、信頼性が高く、詳細かつ正確なリアルタイムの感染症データを構築しています。このプラットフォームはまったく新しいもので、さまざまなコミュニティから収集された感染拡大に関するデータがまとめられ、地理的な場所や所属している組織に関係なく、誰もがそのデータを利用できるようになっています。
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Kapor Foundation、CEO
アリソン スコット博士 (女性)
技術分野における人種間の平等を実現するために奮闘
SwaTaleem エグゼクティブ ディレクター
アナーニャ ティワリ氏 (女性)
インドの地方在住の少女たちが教育を受けられるようサポート
The Hidden Genius Project エグゼクティブ ディレクター
ブランドン ニコルソン博士 (男性)
黒人男性の若い世代が、最大限に能力を発揮することができるようサポート
Restor、CEO
クララ ロウ氏 (女性)
世界の生態回復プロジェクトをサポートし、それらを結び付けるオープンデータ プラットフォームを運営
准教授、AirQo プロジェクト リード
エンジニア バイノムギシャ氏 (男性)
アフリカ全都市における清浄な空気環境の実現を構想
Laboratoria 共同創業者兼 CEO
マリアナ コスタ チェカ氏 (女性)
ラテンアメリカの技術業界に変化を起こす
Global.health 共同創業者
モーリッツ クレーマー博士 (男性)
感染症の拡大をより正確に予測できる未来を構築
Google.org の Leaders to Watch について
Google は、現在最も差し迫った社会課題に取り組む組織を支えている人々をサポートしています。今年の Leaders to Watch では、近年 Google が支援した人々の中から、自分たちのコミュニティにとどまらず、それ以外の地域もより良い場所にしようと取り組んでいる、注目のチェンジメーカーたちを紹介しています。革新的な技術を使って問題の解決に取り組んでいる人もいれば、テクノロジー業界を誰もが携わりやすいものにするよう取り組んでいる人もいます。
Google.org は、資金サポートとメンターシップ、そして Google のツールとリソースの提供を通じて、このようなリーダーたちを支援できることを誇りに思っています。